2019.11.19

第137号:安定成長する会社は目的を追求する、先細りする会社は差別化に走る

様々な業界において市場の成熟化が進み、激しい競争になっています。
そうした中、企業は売上確保のために懸命に努力を行っていますが、売上は確保ができたとしても、業務が多忙になりすぎて社員が疲弊してしまい、このままでは社員のモチベーションが続かないのではないかと危機感を持つ経営者も多いです。

安易な商品の差別化や様々な新商品を導入はメリットよりもデメリットの方が多い!

私は、ある工務店のスタッフからこんな話を聞いたことがあります。
「以前は自社の商品に自信を持っていたので、自社の商品を提案することで、お客様に喜んでいただけるという実感がありました。仕事にもとてもやりがいを感じていました。しかし、最近は競合他社がたくさん出てきて、正直なところ自社の商品を自信を持って販売することができなくなっています。
けれども、会社の売上を上げるためにお客様に自社の商品のPRをしなければなりません。お客様のことを思うと自社の商品を勧めることに罪悪感を覚える時もあります。とても複雑な気持ちです」

日々お客様と接している現場スタッフは、会社の売上も大切ですが、顧客満足の実感はもっと重要なのです。顧客満足を提供している実感こそが、仕事のやりがいにつながり、モチベーションを保ち続ける原動力になるのです。

競争が激しい中で経営側は懸命に他社との商品の差別化に努め、様々な新商品を導入しています。しかし、多くの企業が、どの商品も他社との明らかな差別化にはすることができずに頭を抱えています。また、新商品が増えたことで他社との差別化どころか、逆に、現場の仕事が複雑化し単純ミスの発生につながっています。単純ミスが積み重なれば自社の商品に自信が持てなくなり、安さで買っていただこうという意識になってしまいます。

これからの時代は商品の差別化ではなくサービスの差別化を図ることが重要

世の中には様々な商品が溢れ、商品での差別化はとても難しくなっています。たとえ差別化できる商品を開発したとしても、すぐに真似されてしまうのが現状です。

経営者の多くが、これからの時代は商品の差別化ではなくサービスの差別化を図ることが重要だということに気づいていません。他社との差別化よりも、お客様の真のニーズを把握し、質の良いサービスを提供することが重要です。ニーズが多様化する現代において、対象顧客を明確にしていなければ、質の良いサービスとは何かが曖昧になり、ただお客様の要望に応えるだけになってしまいます。

お客様の立場に立って、商品購入プロセスの「ビフォアーサービス」や「アフターサービス」を強化することで、顧客満足を高めていかなければなりません。そのためにも、自社の存在価値であるミッションを明確にし、サービスの向上を図ることで、価格競争から脱却し「顧客満足」と「適正利益の確保」につなげましょう。

画像引用:photo AC

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